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ウェブサイトやデジタルサービスは、私たちの生活に欠かせないものとなりました。

しかし、すべての人が同じように情報にアクセスできているでしょうか?

情報バリアフリーとは、障がいや年齢、利用環境に関係なく、誰もがデジタル情報にスムーズにアクセスできるようにする考え方です。

現代社会において、情報へのアクセスが生活の多くの場面で重要視されているからこそ、情報バリアフリーの概念に注目が集まっています。

この記事では、見過ごされがちな「情報の壁」がウェブサイトにもたらす影響と、それを解消するための具体的な方法、そして企業が得られるメリットについて解説します。

情報バリアフリーとは?「情報の壁」を取り除くこと

「バリアフリー」と聞くと、駅や建物のスロープ、エレベーターなどを思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、現代社会では私たちの生活の多くがデジタル上で完結しています。

ウェブの世界にも、物理的な障壁と同じように情報へのアクセスを妨げる「情報の壁」が存在するのです。

ここでは、情報バリアフリーの概念と、それが物理的なバリアフリーとどう違うのかを解説します。

情報バリアフリーの定義

情報バリアフリーとは、障がいの有無や年齢、利用環境に関わらず、誰もが情報にアクセスし活用できる社会を目指すための概念です。

特定の層のためだけのものではなく、デジタル社会に存在する「情報の壁」を根本的に取り除くことを目的としています。

例えば、文字情報が画像になっていると、目の不自由な方はその内容を読み取ることができません。

「スクリーンリーダー」という音声読み上げソフトが、画像を認識できないからです。

高齢者の方にとっては、文字が小さすぎたり操作が複雑すぎたりすると、サービスを利用することが難しくなります。

情報バリアフリーは、ウェブサイトだけでなく、スマートフォンのアプリや公共施設のタッチパネル端末など、あらゆる情報伝達手段が対象となります。

物理的なバリアフリーとの違い

物理的なバリアフリーと情報バリアフリーは、どちらも社会生活における障壁を取り除くという共通の目的を持っていますが、その対象は異なります。

物理的なバリアフリーがスロープの設置やエレベーターの導入など、建物や交通機関といった「物理的な空間」の段差をなくす取り組みであるのに対し、情報バリアフリーはウェブサイトやデジタル機器という「情報空間」の障壁を取り除く取り組みです。

物理的な障壁は目に見えやすく、その必要性が理解されやすい一方、情報における障壁は目に見えにくく見過ごされがちです。

しかし、情報化が進んだ現代では、情報にアクセスできないことが物理的な障壁以上に社会参加の機会を奪うことにつながります。

ウェブサイトを持つすべての企業にとって、目に見えない「情報の壁」を認識し、積極的な対策を講じることが不可欠です。

ウェブサイトにおける「情報のバリア」の具体例

ウェブサイト上の「情報の壁」は、障害のある人だけが直面する問題ではありません。

私たち一人ひとりが、ふとした瞬間に不便さを感じる可能性があります。

ここでは、ウェブサイトに潜む具体的な「情報のバリア」を、ユーザーの状況別に見ていきましょう。

視覚に障がいのある方にとってのバリア

視覚に障がいのある方は、ウェブサイトの情報を目で直接読み取ることが難しいため、「スクリーンリーダー」という音声読み上げソフトを利用しています。

スクリーンリーダーが画像を認識できない場合、画像の内容がまったく伝わりません

例えば、商品画像に代替テキストがなければどんな商品なのかが分からず、購入を諦めてしまうかもしれません。

また、テキストと背景のコントラストが低すぎると、弱視の方や高齢の方には文字が読みにくくなってしまいます。

色覚特性を持つ方にとっては、「赤字は必須項目」といった色の違いだけで情報を伝える表現がバリアとなります。

聴覚に障がいのある方にとってのバリア

聴覚に障がいがある方にとって、多くの場合、音声コンテンツからは十分な情報を得られません。

ウェブサイトに掲載されている動画に字幕や文字起こしがない場合、音声に含まれる会話やナレーション、重要な効果音などがまったく伝わらないため、コンテンツの内容を理解できなくなってしまいます。

また、オンラインセミナーやライブ配信なども同様です。

字幕がない動画は、結果的に聴覚に障がいがある方を排除してしまうことになりかねません

動画の内容をテキストで補うことは、情報バリアを取り除く上で重要な配慮です。

身体的な障がいや高齢者にとってのバリア

身体的な障がいを持つ方や高齢者の中には、マウスを思い通りに操作することが難しい方も少なくありません。

マウスの代わりにキーボードだけでウェブサイトを操作するユーザーにとっても、「Tabキーでリンクやボタンを順番に移動できない」「Enterキーでクリックできない」といった問題は大きな障壁となります

また、フォームの入力項目が複雑すぎたり、入力エラーのメッセージが不明確だったりすると、最後まで手続きを進められず、途中でサイトを離れてしまう原因になります。

その他、一時的な利用環境によるバリア

情報のバリアは、障がいや年齢に関係なく、誰にでも起こりうることです。

例えば、スマートフォンで動画を見ようとしたとき、電車内やカフェなどの音が聞けない状況にいると、字幕がない動画は内容が分かりません。

また、Wi-Fi環境がない場所で低速な回線を使っている場合、画像や動画の読み込みに時間がかかりすぎると、ユーザーは閲覧を諦めてしまうでしょう。

このように、ウェブサイトにおける「情報の壁」は、特定のユーザーに限定されるものではなく、私たちの誰もが直面する可能性がある問題なのです。

情報バリアフリーが企業にもたらす3つのメリット

情報バリアフリーの対応は、法律を守るためだけでなく、企業の成長とブランド価値を高めるための投資でもあります。

ここでは、情報バリアフリーに取り組むことで、企業が得られる具体的なメリットを3つに絞って解説します。

①新たな顧客層の獲得とブランドイメージの向上

ウェブサイトのバリアを取り除くことは、これまで情報にアクセスできなかった人々を、新たな顧客として迎え入れることにつながります。

例えば、高齢者や障がいを持つ方だけでなく、電車内や静かな場所で音声を出せない環境にいる人、一時的なケガをしている人など、多様な利用者がスムーズに情報にたどり着けるようになるのです。

これまでアプローチできなかった層にサービスを届けられるようになり、市場が自然と拡大します。

また、情報バリアフリーへの積極的な取り組みは、企業の社会貢献活動(CSR)として外部からも高く評価されます。

誰もが使いやすいサイトを運営している企業として、ブランドイメージが向上し、社会から信頼される存在となるでしょう。

競合他社との差別化を図る上でも、大きな強みとなります。

②SEO効果とユーザーエクスペリエンスの向上

情報バリアフリーのための改善は、検索エンジン最適化(SEO)にも良い影響を与えます。

例えば「見出しタグを正しく使う」「画像に代替テキストを設定する」といった対応は、検索エンジンのクローラーがサイトの構造や内容を正確に理解する際にも役立ちます。

その結果、検索結果での表示順位が向上しやすくなるのです。

さらに、アクセシビリティ対応によって、サイトのユーザーエクスペリエンス(UX)も飛躍的に向上します。

使いやすいサイトはユーザーの満足度を高め、サイトの滞在時間を延ばしたり再訪問を促したりする効果があります。

誰もがストレスなく情報にアクセスできる環境を整えることは、顧客ロイヤルティを高める上でも有効な手段です。

③法的リスクの回避

2024年4月に施行された改正「障害者差別解消法」により、民間事業者にも「合理的配慮の提供」が義務付けられました。

ウェブサイトが情報提供の重要な手段となっている現代において、情報バリアフリーへの取り組みは、もはや法律を遵守するために欠かせないものです。

対応を怠った場合、企業イメージの低下や顧客の機会損失といったリスクに加え、最悪の場合、行政指導や民事訴訟につながる可能性も否定できません。

情報バリアフリーに取り組むことは、こうした法的なリスクを未然に防ぎ、企業活動を安定させるための基盤を固めることにつながります。

関連記事:2024年4月施行「障害者差別解消法」改正とウェブ対応の義務化|企業が今すべきこととは?

情報バリアフリーを実現するための「ウェブアクセシビリティ対応」

情報バリアフリーを実現するための具体的な方法が「ウェブアクセシビリティ対応」です。

ここでは、情報バリアフリーという考え方をウェブサイトで形にするための具体的な手段について解説します。

ウェブアクセシビリティは情報バリアフリーの具体的な手段

情報バリアフリーは、誰もが情報にアクセスできる社会を目指すという、いわば「目標」や「理念」です。

それに対し、ウェブアクセシビリティは目標をウェブサイト上で達成するための「具体的な手段」や「技術的な対応」を指します。

例えば、物理的なバリアフリーで言えば、「誰もが安全に建物に入れるようにする」という目標に対して、「スロープを設置する」「手すりを設ける」といった具体的な方法があるのと同じです。

ウェブサイトにおいては「誰もがサイトを不自由なく利用できるようにする」という目標に対して、「画像に代替テキストを付ける」「キーボードだけで操作できるようにする」といった具体的な方法がウェブアクセシビリティなのです。

専門ツールを活用した効率的な対応

ウェブサイトの情報バリアフリー化は、対応すべき項目が多岐にわたります。

手作業で一つひとつのページをチェックし問題点を修正していくのは、膨大な時間と労力がかかります。

特に、サイトの規模が大きかったり、頻繁にコンテンツを更新したりする企業にとっては、手作業での対応は現実的ではありません

そこで活用したいのが、専門の自動チェックツールやサービスです。

こうしたツールは、ウェブサイト全体を自動でスキャンし、人間が見落としがちな潜在的な問題点まで網羅的に洗い出してくれます

社内に専門リソースがない場合や、効率的に情報バリアフリー化を進めたい方には、「Accessdove」がおすすめです。

タグを一行埋め込むだけで、ウェブサイトのアクセシビリティを診断し、即座に修正を施します

ウェブ担当者の負担を大幅に軽減し、効率的かつ継続的に情報バリアフリー化を進められるでしょう。

まとめ

情報バリアフリーは、ウェブサイトに潜む「情報の壁」を取り除く概念です。

障がいを持つ方のためだけでなく、高齢者や一時的に不便な状況にある人、そしてすべてのユーザーの利便性を高めます。

情報バリアフリーの実現は、企業にとっての社会的責任であり、新たな顧客層の獲得やブランドイメージ向上にもつながります

こうした対応を効率的かつ継続的に行うには、「Accessdove」のような専門ツールの活用が有効です。

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