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ウェブアクセシビリティの成功事例から学ぶ5つの重要ポイント

ウェブアクセシビリティ 事例

ウェブアクセシビリティに対応する自治体や、企業の事例は増えています。実際に、ウェブアクセシビリティ方針を掲載したWebサイトを見つける機会もあるでしょう。対応には、誰もが見やすく分かりやすい工夫や継続的な改善が重要です。

本記事では、ウェブアクセシビリティに対応するメリット・デメリットや自治体・企業の事例、重要な5つのポイントについて詳しく解説します。ウェブアクセシビリティ対応の事例を知りたい方、自社における取り組みの参考にしたい方は、ぜひご覧ください。

ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障がいの有無や年齢、利用環境に関わらず、誰もがWebでの情報収集・サービスの利用ができる状態・到達度のことです。例えば以下の状態を指します。

  • 耳が聞こえなくても、情報が得られる
  • キーボードのみで操作ができる
  • 通信環境が悪くても利用できる

ウェブアクセシビリティの概要に関する詳細は、以下をご覧ください。
⇒ウェブアクセシビリティとは何か?初心者向けにわかりやすく解説

ウェブアクセシビリティの恩恵を受ける主な対象者とは

ウェブアクセシビリティの確保により、恩恵を受ける主な対象者は以下の通りです。

  • 視覚障がいのある方
  • 聴覚障がいのある方
  • 上肢障がいのある方
  • 発達障がいや学習障がい、知的障がいがある方
  • 色覚特性がある方
  • 高齢の方
  • 一時的なケガを負っている方

主な対象者は障がい者や高齢者が中心ですが、明るさが足りなかったり、雑音で音声が聞き取りにくかったり、通信状態が悪かったりする環境のユーザーなども対象です。障がい者や高齢者のみが対象と考える方もいますが、全ての人が対象になります。

ウェブアクセシビリティに対応するメリット・デメリット

ウェブアクセシビリティに対応するメリット・デメリット

ウェブアクセシビリティ対応には、メリット・デメリット双方が存在します。ここからは、ウェブアクセシビリティ対応するメリット・デメリットについて詳しく解説します。

ウェブアクセシビリティに対応するメリット

ウェブアクセシビリティ対応における主なメリットは以下の通りです。

  • 誰にでも使いやすく見やすいサイトになる
  • さまざまなデバイス・ブラウザに対応できる
  • 機会損失を防止できる
  • Webサイトの品質が明確になる
  • SEOへの効果が期待できる
  • 企業イメージや売上向上につながる
  • 義務化に対応できる

ただ単に、法律に対応するだけでなくSEOへの効果や企業イメージ・売上の向上が見込めます。

ウェブアクセシビリティに対応するデメリット

一方で以下のデメリットが存在します。

  • コストや手間が発生する
  • 費用対効果が計りにくい
  • 社内理解を得にくい
  • 学習コストが発生する

対応には、方針の作成や既存サイトの確認・改修が必要で、コストや手間がかかるでしょう。SEOへの効果は期待できますが、費用対効果が明確に算出しにくいため、予算・手間をかけた取り組みが難しいケースもあるかもしれません。

なお、ウェブアクセシビリティ対応のメリット・デメリットに関する詳細は、以下をご覧ください。
⇒ウェブアクセシビリティの義務化はいつから?罰則はあるの?

自治体におけるウェブアクセシビリティ事例5選

自治体におけるウェブアクセシビリティ事例5選

すでに、多くの組織や企業がウェブアクセシビリティ対応を行っています。ここからは、以下の自治体における事例について詳しく解説します。

  • 宮城県
  • 兵庫県神戸市
  • 兵庫県姫路市
  • 東京都三鷹市
  • 東京都目黒区

宮城県

震災の経験からタイムリーかつ大多数の人に情報発信する重要性を痛感した宮城県では、以下を踏まえたWebサイトリニューアルを2012年に実施し、CRMを導入しました。

  • アクセシビリティの確保
  • ユーザビリティの向上
  • モバイル端末への対応

また、自分たちでも注意点をまとめたチェックリストを作成しています。さらに、職員だけでなく県の自治体も対象にした研修会を開き、ウェブアクセシビリティの普及に取り組んでいます。

兵庫県神戸市

兵庫県神戸市は、全ての人が見やすいWebサイトの構築を目指し、継続的な改善を行っています。具体的には、独自のガイドラインである「神戸市ホームページ作成事業者用ガイドライン」を作成しました。職員に内容を共有し、ウェブアクセシビリティ対応に向けた要件を周知しています。

兵庫県姫路市

兵庫県姫路市もウェブアクセシビリティに関する取り組みを行っている自治体の一つです。具体的には、これまでに以下を実施しています。

  • ページ削減
  • 画像への代替テキストの設置
  • ページタイトルや見出しの設置

また、ウェブアクセシビリティに関する正しい理解を促す目的で、職員研修も実施しています。

東京都三鷹市

東京都三鷹市は、2009年に行った障がい者のユーザー調査結果を基に問題点の抽出と改善、テーマ設定を行った上で、Webサイトのリニューアルを実施しました。また、職員への研修を定期的に実施するとともに、各課に広報主任を設けて組織的なアクセシビリティの維持・向上に取り組んでいます。

さらに、三鷹市内の専門家にサポートを依頼し、定期的なチェックを行い、課題を的確かつスピーディーに解決する体制を整えています。

東京都目黒区

東京都目黒区は、2003年度からウェブアクセシビリティに配慮した取り組みを始めました。2007年度には、ウェブアクセシビリティを重視し、ユーザーが見やすいサイトを自分たちで作っていくために、コンテンツの編集や情報発信がしやすいCMSを導入しました。CMS導入後は、障がい者のWebサイト利用状況や色使いにおけるポイントなどの研修を定期的に行い、効果を上げています。

また、外国人向けに以下3ヵ国の自動翻訳機能を実装している点も特徴です。

  • 英語
  • 中国語
  • ハングル

翻訳時にも正しく伝わるように、日本語の文章も工夫されています。

企業におけるウェブアクセシビリティ事例8選

企業におけるウェブアクセシビリティ事例8選

続いて、以下の企業における事例について詳しく解説します。

  • 三井住友銀行
  • LABRICO
  • ANA
  • 弁護士ドットコム
  • NTT
  • 日本財団
  • 北洋銀行

三井住友銀行

三井住友銀行は、ウェブアクセシビリティの確保に向け、JIS X 8341-3:2016に準拠したWebサイトの設計を行っています。例えば、視覚障がい者でも利用できるように音声の読み上げ機能を実装し、キーボード操作に対応させました。また、定期的にテストを行いサイトの改善を実施しています。

LABRICO

暮らしづくりのDIYパーツを販売するオンラインショップのLABRICOでは、ユーザーが直感的に欲しい商品を見つけられるように、サイト構造と導線の見直しやデザイン変更を行いました。また、商品カテゴリーや検索機能の強化を行った結果、ユーザーの利便性が向上しました。

ANA

ANAでは、WCAG2.1及びJIS X 8341-3:2016の適合レベルAA実現に向け、以下の取り組みを行っています。

  • アクセシビリティ関連のガイドライン整備
  • アクセシビリティに関する教育の実施
  • 新規ページの作成時に、設計段階から適合性の確認
  • 第三者による主要ページにおける適合性の確認

また、動画には映像のみ・音声のみであっても内容理解ができる配慮を施し、不足が考えられる場合には、追加テキストを提供するなども実施しています。

弁護士ドットコム

弁護士ドットコムでは、2018年から実際にハンディキャップを持つ方に、サイトを活用してもらい不便な点を観察して課題の抽出・改善を行うアクセシビリティ対応を行っています。ブランドリニューアルを行った際には、コントラスト比における課題解決を目的に、ブランドカラーも変更しました。

NTT

NTTでは、定期的にウェブアクセシビリティの検査を行っています。検査結果や対象ページ、検査日などは、アクセシビリテポリシーのページに公開し、誰でも確認が可能です。

日本財団

子どもの貧困や災害、福祉など、さまざまな事業を営む日本財団では、情報の発信だけでなく助成申請の手続きや寄付の受付など、多様なシーンでWebサイトが利用されています。誰もが利用できる必要があるため、2016年度にウェブアクセシビリティ対応を行いました。文字や画像、色面におけるコントラストの調整や、運用時のマニュアル作成なども行い、第5回Webグランプリ浅川賞(アクセシビリティ部門)でグランプリを獲得しました。

北洋銀行

北洋銀行では、ウェブアクセシビリティ方針のリンクをフッターに設置して、どのコンテンツから流入しても方針を確認できる体制を整えています。また、方針では試験結果も公開しており、目標達成基準も明確に示されています。

ウェブアクセシビリティの成功事例から学ぶ5つの重要ポイント

ウェブアクセシビリティの成功事例から学ぶ5つの重要ポイント

ウェブアクセシビリティの成功事例から学ぶ5つの重要ポイントは、以下の通りです。

  • 見やすさ分かりやすさへの工夫
  • 支援ツールの活用
  • 関係者における理解の促進
  • 多言語対応
  • 継続的な情報収集と改善

最後に、上記それぞれのポイントについて詳しく解説します。

見やすさ分かりやすさへの工夫

ウェブアクセシビリティ対応では、誰もが見やすく分かりやすい工夫が欠かせません。テキストサイズやコントラスト比などにこだわりましょう。また、耳の不自由な方や電車移動時などの音が出せない空間だったり聞こえにくい状況でも情報を取得できるよう、動画に字幕を付けるなども必要です。

支援ツールの活用

ウェブアクセシビリティ対応を、全て自社で完結することは簡単ではありません。外部の専門家や支援ツールを上手に活用しましょう。実際に、本記事で紹介した自治体・企業には、外部パートナー・ツールを活用しているところも多くあります。支援ツールなどを活用すれば、手間を減らし効率的な対応が可能です。

支援ツールに関する詳細は、以下をご覧ください。
⇒初心者必見!ウェブアクセシビリティチェックツールのおすすめ12選

関係者における理解の促進

Webサイトは情報発信などにより、定期的な更新が行われるため、関係者におけるポイントや対応方法の理解が重要です。関係者が理解しなければ、ウェブアクセシビリティに未対応のコンテンツが作成されてしまうでしょう。マニュアル作成や研修会の実施などが有効です。

多言語対応

インターネットは世界中で閲覧されています。また、日本には多くの外国人が住んでいるため、多言語対応も重要です。外国語への対応は、ユーザーの間口拡大につながり、新たな顧客の獲得にもつながります。

継続的な情報収集と改善

ウェブアクセシビリティは一度対応すれば、完成するわけではありません。ニーズや法規制、求められる項目が変わるからです。また、Webサイトでは継続的な情報発信や更新が行われるでしょう。最新情報を収集や定期的にサイトチェック・改善する体制の整備が重要です。

まとめ

まとめ

すでに多くの企業や自治体が、ウェブアクセシビリティへの対応を行っています。対応する際のポイントは以下の通りです。

  • 見やすさ分かりやすさへの工夫
  • 支援ツールの活用
  • 関係者における理解の促進
  • 多言語対応
  • 継続的な情報収集と改善

上記を心掛け、効果的なウェブアクセシビリティ対応を行いましょう。