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ウェブアクセシビリティのデメリット4つとその解決策

ウェブアクセシビリティ デメリット

ウェブアクセシビリティ対応には、コスト・手間の発生、費用対効果が計りにくい、社内理解を得にくいなどのデメリットがあります。一方で、企業イメージの向上やSEOへの効果、サイト品質の向上と明確化など、メリットも少なくありません。

本記事では、ウェブアクセシビリティに対応するメリット・デメリットやデメリットに対する解決策、よくある誤解について詳しく解説します。ウェブアクセシビリティ対応のデメリットを知りたい方、解決したい方は、ぜひ参考にしてください。

ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障がいの有無や年齢、国籍などに関わらず、誰もがWebサイト・オンラインサービスを利用しやすくするための技術や考え方のことです。近年は、インターネットが普及しており、Webサイトからの情報収集やサービスの申し込みなどができなければ、不利益を被るケースがあるでしょう。電話などでの問い合わせを受け付けておらず、Webサイトからの問い合わせのみに対応している企業も存在します。ウェブアクセシビリティ対応していなければ、利用できる人とできない人の格差が生じてしまいます。

なお、ウェブアクセシビリティの概要に関する詳細は、以下をご覧ください。
⇒ウェブアクセシビリティとは何か?初心者向けにわかりやすく解説

ウェブアクセシビリティに対応するメリット

ウェブアクセシビリティに対応するメリット

ウェブアクセシビリティに対応すれば、以下のメリットを得られます。

  • 誰にでも使いやすく見やすいサイトになる
  • さまざまなデバイス・ブラウザに対応できる
  • 機会損失を防止できる
  • Webサイトの品質が明確になる
  • SEOへの効果が期待できる
  • 企業イメージや売上向上につながる
  • 義務化に対応できる

ここからは、上記それぞれのメリットについて詳しく解説します。

誰にでも使いやすく見やすいサイトになる

ウェブアクセシビリティ対応により、誰もが使いやすく見やすいサイトの構築が可能です。例えば、見やすいフォントサイズやデザインは、障がいの有無に関わらず多くのユーザーにとって有益です。サイトが活用しやすくなり、利用してもらえる可能性が高まります。

さまざまなデバイス・ブラウザに対応できる

ウェブアクセシビリティに対応すれば、さまざまなデバイスやブラウザから利用できる環境の整備が可能です。最近は、パソコン・スマートフォンだけでなく、タブレットやテレビ、ゲーム端末など、多数のデバイスが存在します。また、利用するブラウザもGoogle Chromeやsafari、Microsoft Edgeなど、数多くあります。どんなデバイス・ブラウザであっても対応できる環境の構築は、間口の拡大につながります。

機会損失を防止できる

流入したユーザーにとって、Webサイトが使いにくければすぐに離脱してしまいます。例えば、聴覚障がい者が動画を見た際に字幕がなければ情報を得られないため、すぐに視聴を辞めるでしょう。購入意欲が高いユーザーがECサイトを訪れても、サイトが重く商品情報の表示や検索ができなければ、購入せずに離脱してしまうかもしれません。ウェブアクセシビリティ対応で、誰もが使いやすいサイト構築ができれば、ユーザビリティーが向上し離脱と機会損失を防止可能です。

Webサイトの品質が明確になる

ウェブアクセシビリティ対応において、サイトの品質チェックやその結果の公開が求められます。ガイドラインでさまざまな項目が設けられており、一つひとつ要件をクリアすれば、品質が高まるでしょう。また、その結果の公開により、自社のWebサイトにおける品質を明確に広く周知できます。

SEOへの効果が期待できる

SEOへの効果が期待できる点も、ウェブアクセシビリティ対応のメリットです。画像に代替テキストを付ければ、検索エンジンのクローラーも内容の認識が可能です。また、Googleは2015年4月に、モバイルフレンドリーなページの掲載順位を引き上げるためのアップデートを行いました。さまざまなデバイスへの対応を行えば、モバイルフレンドリーの実現にもつながります。さらに、サイト品質向上でSEOに影響を与えるユーザーの流入数や滞在時間、サイト回遊率の向上が期待できます。

企業イメージや売上向上につながる

インターネットを使うユーザーは多く、今やWebサイトは企業における一つの顔となっています。操作性や利便性が向上すれば、企業イメージが向上するでしょう。また、障がい者差別解消法の改正により、誰もが利用可能なWebサイト構築に対する社会的な意義が高まっています。商品・サービスの質だけでなく環境問題への配慮など社会的な責任をどの程度果たしているかは、消費者が購入先、投資家が投資先を決める際の重要な要素の一つです。ウェブアクセシビリティ対応を行えば、イメージや売上の向上が期待できるでしょう。

義務化に対応できる

2024年4月1日から全ての事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されました。ウェブアクセシビリティに関する法律やルールは日本だけでなく、世界中で施行されています。ウェブアクセシビリティ対応を行うことで、法的要件を満たすとともに訴訟を避けられます。

また、日本より厳格なルールを設けている国や地域もあり、アメリカではウェブアクセシビリティ未対応による訴訟が増加しています。世界の動向から考えると、日本でもウェブアクセシビリティ対応における厳格化がさらに進む可能性があるでしょう。

ウェブアクセシビリティ義務化の概要

障がい者差別解消法の改正により、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されました合理的配慮とは、障がい者や高齢者などの障壁を取り除くための対応で、かつ事業者の負担になり過ぎないもののことです。現時点では、未対応であった場合の罰則は設けられていません。ただし、行政機関などから合理的配慮の未提供に関する指摘があった場合、報告義務があります。万が一、虚偽の報告や報告をしなければ、20万円以下の罰則が科せられるケースがあるため注意しましょう。

義務化に関する詳細は、以下をご覧ください。
⇒ウェブアクセシビリティの義務化はいつから?罰則はあるの?

ウェブアクセシビリティに対応する4つのデメリット

ウェブアクセシビリティに対応する4つのデメリット

メリットがある一方で、以下のデメリットも存在します。

  • コストや手間が発生する
  • 費用対効果が計りにくい
  • 社内理解を得にくい
  • 学習コストが発生する

ここからは、上記それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

コストや手間が発生する

ウェブアクセシビリティ対応では、方針の作成やサイトのチェック・改修などに、手間がかかります。また、社内で行う場合は人件費が、外部に依頼する場合は外注費が発生します。

費用対効果が計りにくい

ウェブアクセシビリティ対応における費用対効果の算出は困難です。改修に対するコストは計算しやすい一方で、対応した結果、どの程度の収益向上が見込めるかの明確な回答は難しいでしょう。Webサイトを改修しECサイトの売上が向上したとしても、ウェブアクセシビリティ対応した結果とは言い切れません。

社内理解を得にくい

高齢者や障がい者のために対応が必要などの考えを持つ方もおり、ウェブアクセシビリティに関する社内理解の獲得が難しい企業も存在するでしょう。対応に必要なコストを社内稟議で上げたとしても、理解されず通らない可能性もあります。

学習コストが発生する

ウェブアクセシビリティ対応には、内容や適合レベルなどの理解が必要です。具体的になにをどのようにすれば良いか理解しにくい方もいるかもしれません。また、ユーザーニーズの変化や法規制の改正が行われる可能性もあり、継続的な学習が必要です。学習自体する時間や書籍の購入などで学習コストが発生します。

ウェブアクセシビリティ対応のデメリットに対する解決策

ウェブアクセシビリティ対応のデメリットに対する解決策

ウェブアクセシビリティ対応のデメリットに対する解決策は、以下の通りです。

  • できる範囲で始める
  • 外部パートナーやツールを活用する
  • 対応するメリットと対応しないデメリット・リスクを比較する
  • SEOの観点から社内理解を得る
  • インターネットを上手に活用し情報収集する

順に解説します。

できる範囲で始める

ウェブアクセシビリティ対応はできる範囲から始めましょう。一度に全てを完了させようとすれば、多くの手間とコストが発生します。義務化は、ウェブアクセシビリティへの完全対応ではなく、負担にならない範囲での対応であるため、全てを一度に完了させる必要もありません。人員や予算も鑑みながら、いつどの程度の対応を行い、いつまでの完了を目指すかなどを検討しましょう。

外部パートナーやツールを活用する

ウェブアクセシビリティ対応やサイト改修には、専門的な知識やスキルが求められます。必要に応じて外部パートナーに協力を仰げば、効率よく対応可能です。また、対応に向けWebサイトのチェックを全て人手で行った場合、多くの手間がかかります。チェックツールが提供されているため、利用すると良いでしょう。

なお、チェックツールに関する詳細は以下をご覧ください。
⇒初心者必見!ウェブアクセシビリティチェックツールのおすすめ12選

対応するメリットと対応しないデメリット・リスクを比較する

費用対効果がわかりにくいウェブアクセシビリティ対応ですが、検討時には対応するメリットと対応しないデメリット・リスクを比較すると良いでしょう。対応により得られるメリットは少なくありません。SEOや企業イメージが向上すれば、売上・利益の向上が見込めます。また、対応すれば訴訟リスクを回避可能です。ウェブアクセシビリティへの対応が原因で、2016年にドミノピザが訴訟された際には、ドミノピザに対して4,000ドル(1ドル=150円で試算した場合、60万円)の損害賠償支払いが命じられました。

SEOの観点から社内理解を得る

障がい者や高齢者への配慮と考える方がおり、社内理解が得にくい場合は、SEOの観点におけるメリットを説明しましょう。ウェブアクセシビリティ対応は、以下の観点からSEOへの効果が期待できます。

  • Webサイトやコンテンツの品質向上
  • ユーザーエクスペリエンスの向上
  • アクセス数の獲得や滞在時間の増加

なお、SEO効果について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
⇒ウェブアクセシビリティガイドラインを守るとSEOにも効果的!その理由とは?

インターネットを上手に活用し情報収集する

書籍などを購入すれば学習コストが高まるため、本サイトなどインターネットの情報を上手に活用すると良いでしょう。最近は、多くの情報をインターネットから無料かつ簡単に入手できます。上手なリサーチ方法を身に付ければ、効率的な情報収集が可能です。ただし、インターネットにある情報は間違ったものも存在するため、見極めが重要です。今後も、本サイトにてウェブアクセシビリティに関する情報を発信していくため、ぜひチェックしてください。

ウェブアクセシビリティに関するよくある誤解

ウェブアクセシビリティに関するよくある誤解

ウェブアクセシビリティに関する以下のよくある誤解をまとめました。

  • ウェブアクセシビリティは障がい者や高齢者を対象にしたものである
  • ウェブアクセシビリティ対応にはデザイン性を犠牲にしなければならない
  • ウェブアクセシビリティの対策は1度行えば良い

ここからは、上記それぞれの誤解に対して詳しく解説します。

ウェブアクセシビリティは障がい者や高齢者を対象にしたものである

ウェブアクセシビリティは、障がい者や高齢者のみを対象にしたものではありません。一時的なケガをしている方や端末の不具合、良好でない利用環境で活用する人々なども含まれます。具体的には、明るさが足りなかったり、雑音で音声が聞き取りにくかったりする環境のユーザーも対象です。

また、2015年2月にWeb制作・開発者向けのオンラインマガジンである「A List Apart」において「Webアクセシビリティとは、障がいを持つ人々がWebを使用できることを意味するとされてきたが、間違いだった。ウェブアクセシビリティとは、人々がウェブを使用できることを意味する。」といった内容の文章が発表されました。
参考:Webのアクセシビリティの再構築|A List Apart

ウェブアクセシビリティ対応にはデザイン性を犠牲にしなければならない

ウェブアクセシビリティ対応における具体的な手法には、コントラスト比やフォントサイズ・スタイルなど、デザインに関する項目も含まれています。中には、デザインを犠牲にしなければならないと感じる方もいるでしょう。ただ、Webサイトは多くの人が利用するもので、独創的なデザインであっても見にくかったり、内容を理解できなかったりすれば意味がありません。ウェブアクセシビリティを考慮すれば、多様な人が利用しやすいデザインにできます。

ウェブアクセシビリティの対策は1度行えば良い

ウェブアクセシビリティ対策は、1度行えば完了するものではなく継続的な取り組みが必要です。利用者のニーズや法規制は変化し続けると予想されるからです。また、新たなコンテンツや機能を実装した際には、アクセシビリティ対応しているかの確認や、対応していない場合の対策が求められます。定期的に確認・改善する体制を整えましょう。

まとめ

まとめ

ウェブアクセシビリティ対応には、コスト・手間の発生、費用対効果が計りにくい、社内理解を得にくいなどのデメリットがあります。ただし、以下のメリットを得られるため、対応する価値は十分にあるでしょう。

  • 誰にでも使いやすく見やすいサイトになる
  • さまざまなデバイス・ブラウザに対応できる
  • 機会損失を防止できる
  • Webサイトの品質が明確になる
  • SEOへの効果が期待できる
  • 企業イメージや売上向上につながる
  • 義務化に対応できる

対応の全てを一度に完了する必要はないため、自社の無理がない範囲で取り組みましょう。また、情報収集はインターネットを、対応は外部パートナーやツールを上手に活用すると効果的です。